噛み合わせ治療・顎関節症
お口の健康の要となる安定した噛み合わせ
私たちは、日々の食事や会話の中で、無意識のうちに顎を動かし、歯を噛み合わせています。
この噛み合わせ(咬合)は、単に食べ物を噛み砕くためだけの機能ではありません。それは、お口全体の、ひいては全身の健康を支える、非常に重要な要となる部分です。
正しい噛み合わせとは、上下の歯が顎の関節や筋肉と調和を取りながら、機能的に、そして安定的に噛み合っている状態を指します。
このバランスが崩れると、お口の中だけでなく、身体の様々な部分に、思いもよらない不調となって現れることがあります。
当院では、この噛み合わせを、あらゆる歯科治療の基本であり、ゴールの一つであると考えています。
原因のわからない不調にお悩みの方は、一度、ご自身の噛み合わせに意識を向けてみてはいかがでしょうか。
噛み合わせの不調和が引き起こすこと
噛み合わせのバランスが崩れた状態を放置すると、お口や身体に、様々な問題を引き起こす可能性があります。

特定の歯への過度な負担
噛み合わせが安定していないと、食事のたびに特定の歯にだけ、過剰な力が集中してかかるようになります。その力は、ご自身が思っている以上に大きいものです。
過度な負担がかかり続けた歯は、すり減ったり、欠けたり、ひびが入ったり、時には割れてしまったりすることさえあります。また、歯を支える骨にダメージを与え、歯周病を悪化させる一因ともなり得ます。
つめ物やかぶせ物の不具合
せっかく治療したつめ物やかぶせ物が、頻繁に外れたり、壊れたりすることがあります。
その原因は、修復物の精度だけでなく、噛み合わせの力にあるのかもしれません。
バランスの悪い噛み合わせは、人工の修復物にとって、非常に過酷な環境です。
長期的に安定した治療結果を得るためには、噛み合わせの管理が不可欠です。
筋肉や顎関節への影響
不安定な噛み合わせを補うため、顎の周りの筋肉は、常に緊張を強いられます。
この慢性的な筋肉の緊張が、顎のだるさや痛み、さらには頭痛や肩こりといった、全身の不調につながることがあります。
そして、顎の関節そのものに負担が蓄積し、後述する顎関節症を引き起こす大きな要因となります。
お口周りの代表的なお悩み「顎関節症」
顎関節症とは
顎関節症とは、顎の関節(耳の前あたりにあります)と、ものを噛む時に使う筋肉(咀嚼筋)の二つの部分に、何らかの機能的な問題が起きた状態を指す病名です。
このようなサインはありませんか
顎関節症の主な症状として、以下の三つが挙げられます。

顎の関節や筋肉の痛み
口を開けたり閉じたりする時、あるいは食べ物を噛む時に、耳の前や頬、こめかみのあたりが痛みます。
口が開きにくい(開口障害)
今まで開いていた大きさまで口が開かなくなり、指が縦に二本入らないことがあります。
関節の雑音(関節音)
口を開け閉めする際に、カクカク、ジャリジャリといった音がします。
これらの症状に加えて、頭痛、首や肩のこり、めまい、耳鳴りといった、一見するとお口とは関係のなさそうな全身の症状を伴うことも少なくありません。
原因は一つではありません
顎関節症は、何か一つの原因によって引き起こされるわけではありません。
- 噛み合わせの不調和。
- 歯ぎしり、食いしばり。
- 日常的な癖(頬杖、うつ伏せ寝、片側だけで噛む癖など)。
- 精神的なストレス。
- 姿勢の悪さ。
これらの要因が複数、そして複雑に絡み合い、その人の許容量を超えた時に、症状として現れると考えられています。そのため、治療においても、多角的な視点からのアプローチが重要となります。
当院の噛み合わせ・顎関節症治療
当院では、まず丁寧な診査・診断を通じて、症状の根本原因を探ることから始めます。
そして、患者様のお身体への負担が少ない、保存的な治療から段階的に進めていくことを、基本方針としています。
1. すべての基本となる診査・診断
まず、問診にて、症状の内容や、いつから始まったのか、生活習慣や癖の有無などを、詳しくお伺いします。その後、お口の中を拝見し、以下のような検査を行います。

- 噛み合わせの状態(咬合紙という赤い紙を噛んでいただき、力の分布を調べます)。
- 歯のすり減りの状態。
- 顎の動きの検査。
- 咀嚼筋の触診(押して痛みがあるかなどを調べます)。
さらに、顎の関節の骨そのものに、変形などの異常が疑われる場合には、歯科用CTを撮影し、関節の状態を立体的に、そして詳細に確認します。
2. 基本方針は保存的な治療から
これらの精密な診査・診断の結果に基づき、治療計画を立案します。
当院では、いきなり歯を削ったり、大掛かりな装置を入れたりするのではなく、まずはお身体に優しい、可逆的な(元に戻せる)治療から始めることを原則としています。
セルフケアと生活習慣の改善

顎関節症の多くは、生活習慣病的な側面を持っています。
まずは、無意識の食いしばりに気づいてやめる、硬いものを食べるのを控える、頬杖をつかない、といった、ご自身でできることから始めます。
ご自身の癖を認識し、それを意識的に改善していくだけで、症状が大きく和らぐことも少なくありません。
スプリント療法(マウスピース治療)

セルフケアと並行して行う、標準的な治療法です。
患者様の歯型を採り、オーダーメイドのマウスピース(スプリント)を作製します。
主に就寝中に、このスプリントを装着していただきます。
スプリントには、夜間の歯ぎしりや食いしばりの力を和らげ、歯や顎の関節を守る効果があります。
また、装着することで、顎の筋肉の緊張が緩和され、顎の関節が、本来あるべきリラックスした位置へ導かれます。
3. より根本的な改善を目指す、専門的な治療
スプリント療法などで症状が安定した上で、噛み合わせそのものに明らかな問題が認められる場合には、より根本的な改善を目指した次の段階の治療を検討します。
噛み合わせの調整(咬合調整)

特定の歯が強く当たりすぎている場合に、その部分をミクロン単位で、ごくわずかに削って調整し、全体のバランスを整えます。
矯正治療

歯並びそのものが、不安定な噛み合わせの大きな原因となっている場合には、矯正治療によって歯を動かし、理想的な位置関係へ導いていきます。
補綴治療

すり減ってしまった歯や、失ってしまった歯があるために、噛み合わせが低くなったり、不安定になったりしている場合には、かぶせ物(クラウン)やブリッジ、インプラントなどで、失われた部分を適切に修復し、安定した噛み合わせを再構築します。
原因のわからない不調は噛み合わせからのサインかもしれません
原因のわからない、お口周りや全身の不調は、噛み合わせからのサインである可能性があります。
日々の生活を、より快適に、健やかに過ごすために、どうぞお一人で悩まず、私たちにご相談ください。

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