私たちの最も大切な使命は、歯が悪くなる前に守ること

皆様は「歯科医院」と聞いて、どのような場所を思い浮かべるでしょうか。
おそらく多くの方が「歯が痛くなったら行く場所」「虫歯を治療する場所」といった、問題が起きてから対処する場所という印象をお持ちのことと思います。
しかし、私たちは、その考え方から一歩進みたいと願っています。一度虫歯で削った歯は、二度と元の健康な状態には戻りません。

優れた材料で修復したとしても、天然の歯に勝るものはありません。
治療を繰り返せば繰り返すほど、歯は少しずつ弱くなり、やがては歯を失うという悲しい結末に近づいてしまいます。

この「治療の連鎖」を断ち切るために、私たちにできる最も価値のある仕事が予防です。
歯科医院は、もはや治療のためだけに通う場所ではありません。
ご自身の健康な歯を一本でも多く、一日でも長く守り、生涯にわたって豊かな食生活と、自信に満ちた笑顔を維持していくための場所です。そのように、歯科医院との関わり方そのものを変えていきたいと考えています。

このページでは、当院が大切にしている予防歯科への想いと、具体的な取り組みについてお話しします。

なぜ予防が重要なのか

お口の健康は、単に歯の問題にとどまりません。美味しく食事をすることは、生きる上での大きな喜びであり、全身の健康を支える源です。
また、近年の研究では、歯周病菌が糖尿病や心臓疾患、認知症といった全身の病気とも深く関わっていることが、次々と明らかになっています。
つまり、お口の健康を守ることは、ご自身の身体、そして人生そのものを健やかに保つことに直結しています。

問題が起きてから時間と費用をかけて治療を行い、数年後にまた別の問題が起きて治療を繰り返す。
このサイクルから抜け出し、生涯にわたって健康な状態を維持していくために、私たちは予防という考え方が、これからの歯科医療の中心にあるべきだと確信しています。

当院の予防歯科

すべてはご自身の状態を知ることから

予防を効果的に行うためには、まず、ご自身のお口の中がどのような状態にあるのか、そして、どのような病気のリスクを抱えているのかを、客観的かつ正確に把握することが不可欠です。
当院では、患者様一人ひとりのお口の状態を科学的に分析し、その結果に基づいた予防計画を立てることを大切にしています。

科学的根拠に基づくリスクの評価

なぜ、虫歯になりやすい人となりにくい人がいるのでしょうか。
なぜ、歯周病が進行しやすい人とそうでない人がいるのでしょうか。

その答えは、歯磨きの習慣だけでなく、唾液の性質や量、お口の中にいる細菌の種類と数、歯並び、食生活、全身の健康状態など、様々な要因が複雑に絡み合って決まります。

当院では、これらの「目に見えないリスク」を明らかにするため、以下のような専門的な検査を行います。

主な検査

• 唾液検査
  唾液を少量採取し、その量や質（酸を中和する能力）、そして、虫歯菌の数を調べます。お口の防御力や攻撃力を、数値で把握することができます。

• 顕微鏡検査
  お口の中の歯垢を少量採取し、顕微鏡で観察します。
  今、実際にどのような細菌（虫歯菌や歯周病菌）が、どのくらい活動しているのかを、ご自身の目で確認していただきます。

これらの検査に加え、歯周ポケットの深さの測定、レントゲン検査、口腔内写真の撮影といった基本的な検査を組み合わせることで、お口の中の状態を多角的に評価し、一人ひとりのリスクに応じた効果的な予防計画を立案します。

予防を支える二つの柱

当院の予防歯科は、歯科医院でのプロフェッショナルケアと、ご家庭でのセルフケアという二つの柱によって成り立っています。
どちらが欠けても、本当の意味での予防は達成できません。

第一の柱：歯科医院でのプロフェッショナルケア

歯科医師、そしてお口の健康を守る専門家である歯科衛生士が、専門的な知識と技術、専用の機器を用いて行うケアです。

ご家庭での歯磨きだけでは取り除けない、細菌の巣窟であるバイオフィルムや歯石を徹底的に除去します。

主な処置

• PMTC（プロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニング）
  歯の表面に付着したネバネバとした細菌の膜であるバイオフィルムは、虫歯や歯周病の直接的な原因となります。PMTCでは、専用の器具とペーストを用いて、このバイオフィルムを一本一本の歯から丁寧に剥がし取り、徹底的に清掃します。
• 歯石の除去（スケーリング）
  歯垢が石灰化して硬くなった歯石は、歯ブラシでは除去できません。超音波スケーラーなどの器具を用いて、歯の表面や歯ぐきの溝に付着した歯石を取り除きます。
• エアフロー
  水と非常に微細なパウダーをジェット水流で歯に吹き付け、バイオフィルムやコーヒー、紅茶などによる着色汚れを、効果的かつ快適に除去します。
  歯を傷つけることなく、隅々まで爽快に磨き上げます。
• フッ素塗布
  歯の表面に高濃度のフッ素を塗布します。
  フッ素には、歯の質を強くし、虫歯菌が出す酸に溶けにくい状態にする効果があります。定期的に行うことで、虫歯に対する抵抗力を高めます。

第二の柱：ご家庭でのセルフケア

プロフェッショナルケアでいくらお口の中をきれいにしても、日々のセルフケアが不十分であれば、細菌はすぐに繁殖してしまいます。

毎日の歯磨きこそが、予防の基本中の基本です。私たちは、単に「磨いてください」と申し上げるだけではありません。

検査結果や、口腔内カメラで撮影したご自身の磨き残しの写真などをお見せしながら、どこに汚れが残りやすいのかを、目で見て理解していただきます。
その上で、患者様一人ひとりの歯並びや手の動かし方の癖などを考慮し、その方に合った歯ブラシの選び方、当て方、そして歯間ブラシやデンタルフロスの効果的な使い方を、具体的に丁寧に指導します。

セルフケアの質を高めることが、次のメインテナンスまでの期間、お口を健康に保つための最も重要な鍵となります。

生涯にわたるパートナーとして

治療が完了した日は終わりではありません。それは、健康な状態を維持していくための新しい始まりの日です。
私たちは、治療を通じて築かれた信頼関係を大切にし、生涯にわたって皆様のお口の健康を守る良きパートナーでありたいと願っています。

「痛くなったら行く」というこれまでの歯科医院との関係から、「健康を維持するために定期的に通う」という新しい関係へ。その一歩を大森山王あおやま歯科から始めてみませんか。
皆様のご来院を、心よりお待ちしております。